山形県飯豊町
先輩就農者インタビュー
伊藤畜産 伊藤 儀宝さん
就農の動機
祖父の代から家畜商を営む農家に生まれ、子供の頃から牛や田んぼに慣れ親しんで育ってきました。稲と動物のアレルギーがあり、高校卒業後は一般企業に就職しましたが、サラリーマン生活に疲れを感じ始めた頃、代々受け継がれてきた農業をやりたい、生まれ育った故郷の「農業」を守りたいという思いが強くなり転職を決断しました。実家に戻り父の元で約3年間修行した後、2010年に父の後を継ぐかたちで新規就農しました。現在、弟と母、スタッフ1名の4名体制で水稲・飼料作物を合わせて21haのほか、米沢牛の肥育牛約200頭、繁殖牛約20頭、仔牛約10頭を飼養しています。
実際に就農してみて
「自分の都合ではなく、牛の都合で暮らせ」と父が良く言っていましたが、動物相手ですから休みたい時に休むことのできない仕事ではあります。一方で、サラリーマン時代には味わえなかった「育てる喜び」を実感できる仕事でもあります。2017年の「米沢牛枝肉共進会」で、私の育てた牛がチャンピオンに選ばれました。485kgの黒毛和種の雄牛が、平均単価の1.65倍の総額268万6900円で取引されました。イメージ通りに良く育ち、購入して頂いたお肉屋さんや食べてくれた方々から「良かったよ」と評価された時はとにかく嬉しいの一言です。地域の誇りでもある「米沢牛」というブランド牛を育てていることも、やりがいにつながっています。
今後の目標
飯豊町は、山形県を代表するブランド牛「米沢牛」の生産量の4割を占める産地であり、ブランド米「つや姫」の産地でもあります。しかし、高齢化などの理由で農業仲間が減少している現状を考えると、不安でしかないというのが正直な気持ちです。そこで、農業に興味のある人が「職業選択の一つ」として新規就農できるよう、雇用の受け皿として法人化を予定しています。スタッフが増えることで働きやすく休みやすい環境づくりも可能になります。そして、チャンピオン牛をつくる名人だった亡き父の牛の味を超え、さらに美味しい牛をつくることが最大の目標です。